離婚したら永住権の取り消しはありうる?
永住権を持っている方で気になるのが、離婚した場合に永住権が取り消されるのかどうかということでしょう。
特に配偶者の在留資格から永住者の許可を得ていた場合、離婚となると不安を覚えてしまうのは無理もありません。
本項目では、これまで永住権を持っていた方が離婚した場合、取り消されるのかどうかを解説します。
▼ 基本的に離婚による永住権の取り消しはない
結論から先に言うと、離婚によって永住権が取り消されることはありません。
永住ビザは一度取得すると、離婚や死別をしても取り消されずそのまま永住者として日本で生活が可能です。
もちろん帰化されている方も同様に日本人として居続けられます。
ただ永住権ではなく配偶者等のビザだった場合は、在留期限までに新たなビザを取得するか母国へ帰らなければいけません。
離婚や死別は前もってわかるようなものではないため、結婚後も引き続き日本で生活したい場合は、早めに永住権を取得するようにしましょう。
特に配偶者ビザは家庭の収入要件が審査の対象となるため、婚姻中に申請する方が有利です。
しかしながら、もし永住ビザを申請前に離婚してしまった場合、道的配慮により定住者ビザの発行となったケースもあります。
例えば、
- ● 離婚後の生活能力が高い
- ● 素行が善良である
- ● 未成年の実子を育てる必要がある
以上のような実例が認められています。
特に良い雰囲気で離婚してない場合は、定住者ビザを経由して永住ビザの取得を考えると良いでしょう。
▼ 離婚後に永住権を取り消されるケース
離婚後にも永住権は取り消されませんが、取り消されるケースももちろん存在します。
特に永住申請時に必ず必要となる「日本人の配偶者等」の在留資格の内容が虚偽であった場合、取り消されるでしょう。
他にも、例として下記のようなケースが挙げられます。
- ● 永住許可申請の内容に虚偽があったと入国管理局が認めたとき
- ● 再入国許可制度を使わずに出国したとき
- ● 再入国許可制度を使って出国し、期限までに再入国しなかったとき
- ● 届け出た住居地から退去後90日以内に新しい居住地の届け出をしなかったとき
- ● 虚偽の居住地の届け出をしたとき
以上のような場合、永住権が取り消される可能性があります。
例えばですが、離婚後の消沈を癒やすために母国へ帰り、そのまま長時間母国にいると日本の永住権が失われる、というパターンです。
再入国では「みなし再入国制度」の場合は1年ですが、再入国許可証を取得していると5年の期限が設けられます。(詳しくは永住者が必要となる再入国許可とは?を参照)
永住権を維持する場合、期間内に必ず日本に入国するようにしましょう。
永住権が取り消されるケースとは
先述した以外で永住権が取り消されるケースはどのようなものがあるのでしょうか。
永住権は離婚では取り消されませんが、それ以外の行動で取り消される可能性があります。
これまでのケースで永住権が取り消されたのは、以下のようなものがあります。
- ● みなし再入国制度を利用して出国したが、1年を経過しても帰ってこなかったとき
- ● 過去日本に入国する際に虚偽申請・虚偽書類を申告していたと発覚したとき
- ● 麻薬・覚醒剤・売春といった罪を犯し、刑罰に処せられたとき
以上のように善良で無い行為と認められた場合は、永住権が取り消されるでしょう。
特にみなし再入国の場合、許可は日本国内でしかできないため、手続きを忘れたと思ってその地の日本大使館に行っても基本的に対応できません。
海外と自由に行き来できるためつい油断してしまいがちですが、2019年末より猛威をふるっている新型コロナウイルスのような事態になると、帰国予定が遅れて取り消されるという可能性があります。
永住権を持っていて出国する場合は、不測の事態に備えてみなし再入国ではなく、再入国許可証を取得した上で出国するのがオススメです。
また、永住権を取得している人は素行が善良であることを求められます。
そのため麻薬・覚醒剤・売春といった罪を犯し、一定の刑罰に処せされた際も永住権を取り消される可能性があります。
日本では基本的に麻薬・覚醒剤は認められていないため、母国で認可されていたとしても使わないようにしましょう。
入国時の申請においても虚偽が発覚すると、退去強制もあり得るためしてはいけませんよ。
在留資格を取り消される理由
在留資格を得ていた場合、離婚後に取り消される可能性があります。
配偶者等ビザの方が離婚をした時、すぐに退去しなくてはいけないのかというと、そうでもありません。
基本的には離婚後も配偶者等ビザの在留期限までは滞在が可能です。
日本に滞在する場合は、その間の期間に別の在留資格を取得すればOKとなっています。
法律でも、正当な理由がなくその配偶者の身分を有している者としての活動を継続して6ヶ月以上行わないで在留している場合に取り消しが可能と表記されています。
そのため、法律で定める6ヶ月以内に在留資格の変更が必要です。
一方で人によってはやむを得ない事情により取り消し対象とならないケースも存在します。
- ● 配偶者と離婚調停中、もしくは離婚訴訟中
- ● やむを得ない事情のために配偶者と別居しているが、生計は一緒
- ● 配偶者から暴力(DV)を受け、一時的な避難または保護を必要としている
- ● 本国にいる親族の傷病などにより、再入国許可による長期間の出国をしている
以上のような場合、取り消しとならない可能性があります。
また、実子がいる場合、国籍によって変わります。
子どもが日本国籍を保有しているなら、子どもに影響なく日本に住み続けることが可能です。
一方、子どもが外国籍だった場合、配偶者等ビザとなっているため注意しましょう。
親の在留資格が同様に配偶者等ビザだと、子どもの在留資格が変わってしまいます。
子どものアイデンティティにも関わる問題のため、離婚後に在留資格が取り消されないよう行動しましょう。
在留資格が取り消された際の対処方法
在留資格が取り消された場合、退去強制が取られ強制的に日本から退去させられてしまいます。
とはいえそれは悪質性の高い偽りであったり、不当な手段によって許可を受けた外国人だったりするので、対象とならない方の方が多いでしょう。
むしろ在留資格を取り消された後に出た出国命令で、決められた猶予期間内に出国しなかったことによる強制退去の方が身近です。
そのため在留資格の取り消しと出入国在留管理庁が判断した場合、まず行われるのは該当の外国人への意見聴取となります。
入国審査官は、意見聴取で聞いた内容を元に、在留資格を取り消すかどうかを決めます。
審査は基本的に公正な対応で行われますが、日本語を上手く話せない外国人の方は注意が必要です。
意見聴取の場は日本語で話すことが多いため、自分の考えを上手く伝えられないとマイナスに捉えられかねません。
したがって、日本語に自信の無い方は、在留資格の取り消しを名目とした出頭があった際は弁護士や専門家を代理人として雇うと良いでしょう。
自分の気持ちをしっかり伝えてくれるのはもちろん、人によっては必要な資料や証拠をしっかり集めて在留資格を有するに足る人物だと証明もしてくれます。
第三者に協力を仰ぐことで、在留資格の取り消しを無効にすることも夢ではありませんよ。
もし在留資格が取り消されて審査もダメだった場合は、残念ながら日本から出国しなければいけません。
そうなると、出国後1年間は上陸拒否期間が設けられているため入国できなくなってしまいます。
退去強制の場合もっと長く、5年間の入国が拒否されます。
出国してから再び日本に戻るのは時間が必要なため、なるべく取り消しにならないように行動しましょう!
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