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【食品販売】外国人の食品販売会社経営と経営管理ビザ

飲食店

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肉や魚介類、牛乳やチーズ等の乳製品の販売を事業内容とする会社を経営することを目的として「経営・管理」のビザを申請するためには、どのような準備が必要になるでしょうか。行政書士が詳しく解説します。

1.食品衛生法に基づく営業許可

イメージとしては、肉や魚、乳製品、温度管理が必要な食料品等を仕入れて販売をするスーパーマーケットやネットショップを経営する会社や、外国から食料品やスパイス等の調味料を輸入して日本国内の店先で販売する場合等です。

下記の場合、食品を扱っていても、「食品衛生法に基づく営業許可」は必要ありません。(※ただし都道府県条例に基づく営業許可が必要となる場合があります。)

  • ・許可を受けている施設で作られたパック入りの商品を販売する
  • ・仕入れたスナック菓子などをそのまま販売する
     (※小分けしたり詰めなおしたりする場合には、食品の種類に応じた保健所の営業許可が必要となります)
  • ・缶やペットボトルに入ったジュースやビールなどをそのまま販売する
     (※グラスやコップに注いで販売する場合は許可が必要)
  • ・農産物を販売する
  • ・容器に入れられた温度管理が不要な食品だけをそのまま販売する

2.会社の設立手続

この手続については、「在留資格「経営・管理」の申請に必要な手続・条件について」の記事の冒頭に記載がありますので、こちらの「経営・管理」のページをご覧ください。

3.営業所物件の確保

会社の設立のときに、会社のオフィスとなる本店として登記されている物件とは別に、スーパーマーケット等の営業所物件を確保する必要があります(ただし、本店オフィス内の構造等の事情により不要となる場合もあります)。
また、後述の調味料等製造業の許可が必要になる場合には、独立した区画の部屋(シンクや手洗い場、収納設備がある部屋)がある物件が必要になります。

なお、この物件の確保ですが、賃借の場合には、本店オフィスの物件も、営業所等の物件も、賃借人は会社の名義で、賃借の目的は事業目的として賃貸借契約書に記載する必要があります。

もしも物件を本人が購入する等して所有している場合には、本人が会社にその物件を事業目的のために使用することを承諾する旨の使用承諾書又は賃貸借契約書を作成する必要があります。

4.食品販売の営業に係る各種許認可を取得すること

販売する食品の種類に応じて、下記のような許認可を取得することが必要になります。

  • ■ 肉・魚・乳製品・その他温度管理が必要な食材を販売するには、食品衛生法上の食肉販売業・魚介類販売業・乳類販売業の許可が必要になります。
    この許可を得るには、販売する営業所に、食品衛生責任者を1名置くことや、一定水準の冷蔵設備を有すること等の条件を満たす必要があります。

  • ■ 調理の過程を必要としない食肉製品・魚介類加工品・乳製品・弁当類・惣菜類等を販売する場合にも、条例により食料品等販売業の許可を得る必要がある場合があります。
    この許可については、冷蔵設備等の営業所の設備等につき、上記の販売許可よりも条件が緩和されています。

  • ■ 外国から仕入れた包装又は瓶詰等された食品を日本で売る場合には、原則として販売に係る許可は必要となりません(外国の食品や、スパイス等の調味料等)。
    しかし、この場合には、販売する外国食品について管轄の検疫所に検疫の届出をする必要があります(食品衛生法第27条)。

     この検疫の届出ですが、方法として以下の方法があります。

    • ・原則、食品等輸入届出書と、原材料及び製造工程に関する説明書・衛生証明書・試験成績書を必要に応じて提出する。
    • ・上記の方法以外にも、輸入の検疫手続きを迅速かつ簡便にするために、事前届出制度、計画輸入制度、同一食品等の継続的輸入、外国公的検査機関の検査結果受入、品目登録制度という制度も用意されている。
  • ■ 外国から仕入れたスパイスや調味料を日本国内で小分けしたり、調合する等して販売する場合には、調味料等製造業の許可が必要になる場合があります。
    この際には、調味料等を小分けにしてパッキングする作業のために、シンクや手洗い場、商品を保管する設備がある個室が必要となります。

5.取引先との基本契約書を準備すること

食料品販売業を経営する場合には、そのサービスの内容的に、食料品の仕入れと販売という業務が発生することが通常であると思われます。
「本当に食料品販売の営業をすること」「安定継続的に取引がされて会社の利益が出ること」をより明確にするため、この仕入れに関して、設立した会社と仕入先企業を当事者とした食料品の仕入れに係る基本契約書を作成し、そのコピーを入管に提出します。

基本契約書とは、個別の仕入れの取引についてではなく、今後、継続的になされる古物の仕入れについての基本的な取り決め内容を記した契約書です。
この作成した基本契約書に、両会社の社名と判子を押します。
なお、この際、取引先の会社の担当者の名刺ももらっておくと尚よいと思います。

6.事務員等の従業員の確保

食料品販売を経営する会社であるならば、どのような食料品を仕入れるか、どのような場で販売するか等の点の決定をする人材は、その会社にとって主たる戦力になる存在です。
このような役割を担う人材としては、「経営・管理」ビザの申請人となる会社の代表取締役や、販売戦略等の業務経験を有し、その業務経験がある「永住者」や「日本人の配偶者等」ビザ等を有している外国人又は日本人であることが望ましいです。
また、経理や貿易事務に関する仕事を担当する正社員の従業員としては、「技術・人文知識・国際業務」、「永住者」や「日本人の配偶者等」ビザ等を有している外国人又は日本人が適切です。ただ、資格外活動許可を得ている「家族滞在」や「留学生」のアルバイトも、この業務に原則として1週間に28時間の範囲内であれば従事することは可能です。

これら会社の従業員について、「経営・管理」ビザの申請の時点で内定通知書や労働条件通知書を会社名義で発行し、そのコピーを入管に提出したいところです。


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■この記事を書いた人■
森山敬代表

森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。

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