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家族滞在ビザの労働制限と就労時間オーバーした場合の対処法

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1.家族滞在とは

家族滞在ビザとは、一定の就労系の在留資格をもって日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者や子を受け入れるために設けられた在留資格(ビザ)です。例えば、就労系の在留資格である技術・人文知識・国際業務や技能というビザをもって日本で働いている外国人の配偶者や子は、家族滞在ビザの対象となります。
家族滞在ビザの特徴の一つとして、就労ビザ(場合によっては留学ビザもありえる)を持つ配偶者や親の扶養を受けている状態、すなわち就労ビザを持つ配偶者や親に経済的に依存していることが家族滞在ビザの条件となります。
この条件に関連して、家族滞在ビザを持つ方の在留カードには、「就労不可」という記載があります。しかし、資格外活動許可という許可を受ければ、週に28時間以内のアルバイト等の就労をすることが認められます。
就労時間に制限があるため、基準をオーバーしないよう注意が必要です。

2.家族滞在ビザの就労制限の内容とは

▼ 資格外活動許可には2種類ある?(個別許可と包括許可の違い)

資格外活動許可には、➀包括許可②個別許可と言われる2つのものがあります。
基本的には、家族滞在ビザをもつ外国人が取得するのは包括許可の資格外活動許可です。

包括許可は、下記の条件を満たすことで取得することができ、1週間で28時間以内という制限つきで就労をすることが可能になります。

  1. (1)申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと
      → 就労の時間は28時間以内であり、この制限を遵守すれば認められます。
  2. (2)現に有する在留資格に係る活動を維持していること
      → 婚姻関係が継続していること、扶養者と同居していること、経済的に依存していることという家族滞在ビザの前提となる活動が維持されていれば認められます。
  3. (3)申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと
    1. ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
    2. イ 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介営業に従事して行う活動
  4. (4)収容令書の発令を受けていないこと

同様に、➁個別許可も1週間で28時間以内の制限をオーバーしない活動の許可を申請するものです。
こちらは、個人事業主として活動する場合や客観的に稼働時間を確認することが困難である場合等に必要となります。
個別許可が認められるには、上記の(1)~(4)に加えて、

  1. (5)申請に係る活動が出入国管理及び難民認定法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動に該当すること

という条件を満たす必要があります。

▼ 就労先や仕事内容に制限はある?

資格外活動許可では就労先や仕事の内容には制限があります。具体的には、風俗営業や店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業、無店舗型電話異性紹介営業においては働くことができません。

▼ 就労時間に制限はある?どのくらい働ける?

 就労時間には制限があり、週に28時間までしか就労することができません
ここで注意したいのが、すべての就労先の就労時間を合わせて28時間以内でなければならないという点です。
仕事を掛け持ちしている方は気を付けてください。

▼ オーバーワークをしなければいくらでも稼いでよい?

資格外活動許可の範囲内の活動か否かは、就労時間が週に28時間をオーバーするか否かという観点から判断されます。
しかし、仮に就労時間の制限が週に28時間以下であったとしても、資格外活動から得られる収入が扶養の範囲を超える・扶養者の収入を上回る程に高い場合には、家族滞在ビザの前提である「扶養者に経済的に依存していること」を満たさなくなる結果、以後の資格外活動許可を認められなくなることや、家族滞在ビザの更新が認められなくなるという事態になる可能性があります。

3.家族滞在ビザでオーバーワークした場合の対処法

▼ オーバーワークしてしまった場合どうなるか?

ここでいうオーバーワークとは、基本的には家族滞在ビザとしての活動を阻害するほどの時間、すなわち週に28時間を超えてアルバイト等をしている状態を指します。
オーバーワークをしていたことは、ビザ申請時に入管から提出を求められることのある課税証明書や源泉徴収票等の書類から発覚することがあります。
通常の時給で週に28時間以内で働く場合には、年額で上限として約130万円(月額で約11万円)程であると考えられています。これを超える数字が課税証明書等にある場合には、「週に28時間以上働いていたのではないか」と推測されるでしょう。
オーバーワークをしていたことが事実であれば、在留状況が悪いと判断され、結果として家族滞在ビザの更新等は認められず、最悪の場合、自分の国に帰国を余儀なくされることもあります。

▼ オーバーワークの対処法

もしも家族滞在ビザを持つ方がオーバーワークをしていて、ビザ更新時等に入管からそれを指摘・説明を求められた場合には、「質問書」という書面が交付されることが多いです。
質問書には、オーバーワークの事実の根拠となる「アルバイト等の就労先会社の名称、住所、連絡先」、「その就労先での就労期間、1週当たりの勤務時間、時給額、実際の報酬額」を書きます。 この質問書を入管から指定された期間中に提出してください。
なお、複数の就労先でアルバイト等をしていた場合には、それらすべてについて書く必要があります。
就労先情報が漏れていることで不許可になってしまうこともありますので、事実と相違が無いように記載しましょう。

また、質問書の記入に加え、その内容を証明する資料として当時の給料振込をされていた銀行通帳の写しや、就労先の賃金台帳を提出することもあります。
オーバーワークを指摘されて説明をする際には、当時の就労状況を上記の質問書の内容をもとに説明し、反省していること、今後は日本のルールを厳守することを誓約する文書を作成することもあります。


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■この記事を書いた人■
森山敬代表

森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。

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