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「特定技能という制度があると聞いたが、自分は移行できるのかを知りたい」
「技能実習が終わった後も、日本で働き続けたいけど、どうすればいいのかわからない」
現在、技能実習生として働いている方の中には、このような疑問を抱えている方もいるでしょう。技能実習期間が終わりに近づくにつれて、「このまま母国に帰らなければいけないのか」「日本でもっと働きたいのに」と不安になってはいないでしょうか?
そこで検討したいのが、特定技能への移行です。特定技能制度は、技能実習を修了した人が日本で引き続き働くための新しい道として作られました。しかし、正しい情報を知らないと、移行のタイミングを逃してしまったり、手続きでミスをしてしまったりする可能性があります。
本記事では「特定技能へ移行する方法」をテーマに、「技能実習との違い」から「移行要件」、「手続きの流れ」「移行後の生活」まで、わかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
特定技能と技能実習の基本的な違い
特定技能への移行方法を知る前に、まずは技能実習とどのような点が異なるのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 技能実習制度の目的と特徴
- ● 特定技能制度の概要と導入背景
技能実習制度の目的と特徴
技能実習制度は、日本の技術や知識を学んで、母国に持ち帰ることを目的とした制度です。
日本で働きながら技術を習得し、母国の発展に貢献することが期待されています。技能実習には1号、2号、3号があり、最大5年間日本で働くことができます。実習期間中は、原則として同じ会社で働き続ける必要があり、転職は認められていません。
実習生は、監理団体と受け入れ企業のサポートを受けながら、計画的に技術を学びます。実習計画に沿って、決められた業務を行い、技術を習得していきます。技能実習の目的は「技術移転」であり、日本の労働力不足を補うためではありません。
特定技能制度の概要と導入背景
特定技能制度は、日本の労働力不足を補うために、2019年4月に作られた新しい制度です。少子高齢化が進む日本で即戦力となる外国人を雇用するために導入されました。こうした点から、技能実習とは異なり「労働力の確保」が目的となっています。
また、一口に特定技能と言っても、1号と2号があります。以下のような違いがあるため、申請前に覚えておきましょう。
| 項目 | 技能実習 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 目的 | 技術を学んで母国へ | 日本の労働力不足を補う |
| 在留期間 | 最大5年 | 1号:最大5年 2号:上限なし |
| 転職 | 原則不可 | 同じ分野なら可能 |
| 家族帯同 | 家族帯同 | 2号のみ可能 |
| 試験 | 不要 | 原則必要(免除あり) |
このように、技能実習と特定技能は大きく異なります。特に在留期間の違いは大きく、1号は最大5年間、2号は在留期間の上限がありません。条件を満たせば家族を日本に呼ぶことも可能です。
転職も同じ分野内であれば認められているため、より働く自由度が高くなっています。
技能実習から特定技能への移行要件
技能実習から特定技能へ移行するためには、要件を満たす必要があります。どのような要件があるのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 技能実習2号修了者が対象となる理由
- ● 試験免除の条件と対象分野
技能実習2号修了者が対象となる理由
特定技能への移行は、技能実習2号または3号を良好に修了した人にのみ認められています。すべての技能実習生が対象ではありません。
ここで言う「良好に修了」とは、実習期間を途中で辞めることなく、最後まで修了したことを意味します。技能実習2号は最低2年間、技能実習3号は最低3年間の実習を終えた人が対象です。
実習期間中に決められた技術を習得し、実習計画に沿って働いたと認められた人が、特定技能に移行できます。
技能実習で培った技術と経験は、特定技能でも活かせます。技能実習2号・3号を修了した人は、すでに一定の技術を持っているため、即戦力として評価されるのです。そのため、移行の際に試験が免除される仕組みになっています。
試験免除の条件と対象分野
技能実習2号または3号を良好に修了した人は、特定技能1号への移行時に、技能試験と日本語試験が免除されます。
ただし、技能実習で従事していた分野と、特定技能で働く分野が一致している必要があります。例えば、農業分野の技能実習を修了した人は、農業分野の特定技能1号に移行する場合のみ、試験が免除されるといった形です。
もし異なる分野に移行する場合は、在留資格「特定技能」の変更許可申請をしなければいけません。
なお、試験免除を受けるためには、技能実習の修了証明書が必要です。修了証明書は、監理団体または受け入れ企業から発行してもらえます。移行手続きをする際は、忘れないようにしましょう。
特定技能で働ける分野と職種
技能実習生から特定技能へと移行する際に意識したいのが、分野と職種です。どのような関係性があるのか、以下にわけて整理していきましょう。
- ● 特定技能1号の対象16分野
- ● 特定技能2号の対象職種と特徴
特定技能1号の対象16分野
特定技能1号では、2026年現在、以下の16の分野で働けます。
- ● 介護
- ● ビルクリーニング
- ● 工業製品製造業
- ● 建設
- ● 造船・舶用工業
- ● 自動車整備
- ● 航空
- ● 宿泊
- ● 自動車運送業
- ● 鉄道
- ● 農業
- ● 漁業
- ● 飲食料品製造業
- ● 外食業
- ● 林業
- ● 木材産業
各分野によって、認められる具体的な業務内容が異なります。自分が技能実習で従事していた業務が、どの分野のどの職種に該当するかを、事前に確認しておくようにしましょう。
なお、特定技能の分野の中には、技能実習では該当していない分野もあります。制度の見直しや対象分野の追加は随時行われているため、最新の対応状況に関しては出入国在留管理庁の特定技能制度のホームページを確認するか、特定技能に詳しい行政書士に相談するようにしましょう。
特定技能2号の対象職種と特徴
特定技能2号は、1号よりも高度な技能を持つ人が対象の在留資格です。熟練した技能を活かして、後輩の指導や管理ができるレベルの仕事が求められます。対象分野も限定されており、1号よりも分野の数は少ないと考えておきましょう。
ただし、2024年に対象分野が大幅に拡大され、介護を除く多くの分野で2号が認められるようになりました。2026年現在、以下の分野が2号の対象になります。
- ● ビルクリーニング
- ● 工業製品製造業
- ● 建設
- ● 造船・舶用工業
- ● 自動車整備
- ● 航空
- ● 宿泊
- ● 農業
- ● 漁業
- ● 飲食料品製造業
- ● 外食業
2号の最大の特徴は、在留期間の上限がないことと、家族を日本に呼べることです。配偶者と子どもを日本に呼んで、一緒に生活できます。
また、更新を繰り返せば無期限で日本に在留できるため、将来的に永住取得も可能です。
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移行に必要な手続きと書類
技能実習から特定技能へと移行する場合、必要になる書類があります。どのような流れで書類を準備すればいいのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 在留資格変更の流れ
- ● 必要書類と申請時の注意点
在留資格変更の流れ
技能実習から特定技能に移行するには、在留資格変更許可申請をする必要があります。ただし、現在の在留資格の期限が切れる前にしなければなりません。
申請先は、最寄りの出入国在留管理局です。自分でしてもいいですし、受け入れ企業や登録支援機関に代行してもらうこともできます。審査期間は通常1~3か月程度かかるため、在留期限の3か月前には申請を始めておくと良いでしょう。
申請後、審査が通れば新しい在留カードが発行されます。在留資格が「特定技能1号」に変更され、特定技能外国人として日本で働き続けられます。
必要書類と申請時の注意点
技能実習から特定技能への移行は、在留資格の変更扱いとなります。そのため、多くの書類が必要です。審査前に以下の書類は必ず集めておきましょう。
- ● 在留資格変更許可申請書
- ● パスポートと在留カードのコピー
- ● 技能実習の修了証明書(試験免除を受ける場合)
- ● 雇用契約書のコピー
- ● 受け入れ企業の支援計画書
- ● 受け入れ企業の登記事項証明書
- ● その他、分野ごとに必要な書類
書類の不備があると、審査が長引いたり、申請が却下されたりする可能性があります。申請する前に必要書類をすべて揃え、内容に間違いがないか確認しましょう。不安な場合は登録支援機関にサポートを依頼するのも方法の1つです。
移行後の働き方と生活支援制度
技能実習から特定技能へ移行すると、働き方と生活支援制度が大きく変わります。以下を参考に、どのように変わるのかをイメージしていきましょう。
- ● 特定技能外国人への支援義務(企業・登録支援機関)
- ● 家族帯同の可否と生活環境の変化
特定技能外国人への支援義務(企業・登録支援機関)
特定技能外国人を受け入れる企業は、法律で定められた以下の支援を行う義務があります。
- ● 入国前後のオリエンテーション(制度や生活のルールの説明)
- ● 住居の確保や銀行口座開設のサポート
- ● 出入国時の送迎
- ● 生活オリエンテーション
- ● 日本語学習機会の提供
- ● 相談・苦情への対応
- ● 定期的な面談の実施
- ● 日本語学習の支援体制
- ● 転職支援
- ● 地域交流
これらの支援が適切に実施されているかを確認するために、出入国在留管理局による調査が入る場合があります。
受け入れ企業がしっかりサポートしてくれるかどうかは、働きやすさに直結するものの1つです。就職先を選ぶ際は、必ず確認するようにしましょう。
家族帯同の可否と生活環境の変化
技能実習と同じく、特定技能1号では家族を日本に呼べません。ですが、特定技能2号に移行できれば、配偶者と子どもを日本に呼べるようになります。そのため、家族と一緒に日本で生活したいと考えている外国人の方にとって、2号への移行は大きな目標の1つとなるでしょう。
また、仕事の面では、転職ができる点が大きな違いです。技能実習とは異なり、特定技能では転職が認められているため、より良い条件の会社に移れます。同じ分野内であれば、自由に会社を選べるのは、非常に魅力的です。自分に合った環境で働けるようになるでしょう。
よくある質問(FAQ)
ここからは、技能実習から特定技能へ移行する際によくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
- 技能実習中でも特定技能へ移行できる?
- 可能です。技能実習2号または3号を修了していれば、特定技能へ移行できます。
ただし、在留資格変更の申請は技能実習の在留期限内にしなければなりません。そのため、技能実習が終わる前から、早めに準備を始めるようにしましょう。技能実習中でも、特定技能への移行について会社や監理団体に相談はできるため、念のため相談しておくのもおすすめです。
なお、移行のタイミングは、技能実習の修了時期に合わせて計画するようにしてください。審査には時間がかかるため、在留資格の空白期間を作らないよう、余裕を持って申請できるかが重要です。 - 特定技能で長期滞在や永住は可能?
- 特定技能1号の在留期間は最大5年ですが、2号に移行すれば在留期間の上限がなくなります。更新を続ければ、何年でも日本で暮らせます。
さらに、2号で在留を継続しながら永住申請に必要な年数(原則10年以上)を積み重ねることで、永住申請も可能です。ただし、永住申請には別途条件があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、特定技能2号は在留期間の上限がないことに加え、家族を呼べるといったメリットもあります。日本で長く安定して生活したい方にとって、取得は大きなメリットです。 - 雇用先を変えることはできる?
- できます。特定技能では、同じ分野内であれば転職が可能です。
例えば、農業分野の特定技能1号で働いている人は、別の農業会社に転職できます。ただし、異なる分野への転職はできません。認められているのは、同じ分野のみです。建設分野の特定技能を持っている方は、同じく建設分野の企業にしか転職できません。もし異なる分野へ転職する場合は、在留資格変更許可申請が必要です。
なお、転職する際は新しい会社と雇用契約を結び、在留資格変更許可申請を出入国在留管理庁に提出する必要があるため、忘れないようにしましょう。
まとめ:特定技能は実習生の新たなキャリアパス
特定技能制度は、技能実習を修了した方が日本で引き続き働くための新しい方法です。
技能実習2号または3号を良好に修了していると、技能試験と日本語試験が免除され、スムーズに特定技能1号へ移行できます。引き続き日本で働きたいと考えている方は、移行も検討してみましょう。
ただし、移行には、在留資格変更許可申請が必要です。審査には時間がかかるため、必要書類を揃え、在留期限の3か月前には申請を始めることをおすすめします。受け入れ企業や登録支援機関のサポートを受けながら、手続きを進めましょう。