「帰化して日本国籍を取得したい」と思って帰化申請し、許可が下りたとしても、その後にこんな心配はないでしょうか?
1つ目は、ビザのように「取り消しの対象になる」ことが帰化申請の場合にも起きてしまうのか?という心配です。
日本人になりたいと思って、条件をクリアしてせっかくたくさんの書類をそろえて帰化できたのに、それを後から取り消されてしまうということがあったら、大変ですよね。
2つ目は、帰化申請が許可された後に「やっぱり元の国籍に戻したい」と思った場合に、認められるのか?という不安も挙げられます。
国によっては、一度国籍を放棄したら、二度と戻れない場合もありますから、無国籍になってしまう危険性もあります。
このコラムでは、①「帰化を取り消されることはあるのか?」と、②「自分で帰化の取り消しができるのか?」という二つの疑問に、行政書士がわかりやすく解説します。
【要点】帰化が取り消される場合 帰化の許可は法務大臣が行う行政処分のため、日本人に帰化を許可した場合など、処分に重大かつ明白な瑕疵があるときは「無効」となり、取り消されることも理論上はあり得ます。ただし、これまでに帰化の許可が取り消された事例はないようです。一方で、申請の内容に虚偽があった場合は、帰化が取り消されなくても、刑法157条1項により罰せられることがあります。
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1.帰化の無効と取り消しは有りうる
帰化とは、国籍法に基づいて国家(法務大臣)が行う行政処分です。そして、行政処分は、処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合には「無効」となります。
「重大かつ明白な瑕疵がある場合」とは、帰化申請で言うなら、例えば「既に日本国籍を有する者、つまり日本人に帰化許可処分をした場合」や「日本人になる意思が無い人に帰化許可処分をした場合」などが挙げられます。
基本的には起こり得ないことですが、これらの場合には帰化許可処分の内容に重大かつ明白な瑕疵があると言えるでしょう。
帰化の条件と手続の全体像は、帰化とは?7つの条件・必要書類・申請の流れをご覧ください。
2.実際に帰化を取り消された人はいる?
帰化許可処分は行政処分である以上、取り消されることも理論上はあり得ます。
しかし、現在まで帰化許可処分が取り消された事例はないようです。
それは、一度帰化許可処分を出した後に取り消すという処分を下すと、多くの面で重大な影響をもたらすために簡単に取り消すことはできないという事情が関係しています。
例えば、日本は二重国籍を認めていない国なので、日本の帰化許可処分では申請人の元母国の国籍を放棄することが求められます。
日本に帰化をして元母国の国籍を放棄した後に、日本の帰化許可処分が取り消されてしまうと、元母国の法体制によってはその人は無国籍となってしまうのです。
帰化許可処分の取消をすると重大な影響が出てしまうこともあり、帰化の審査はより慎重になされているとも言えます。
今まで帰化許可処分が取り消されたという事例はないものの、帰化許可申請時の内容に虚偽がある場合には、刑法157条1項により罰せられることは十分に考えられます。
虚偽の申請をして帰化が許可された場合、帰化が取り消されなかったとしても、虚偽の違法性については別に問われることがあるのです。
3.帰化申請の取り下げについて
「帰化申請の取り下げ」とは、いったん帰化を申請した人が、自ら帰化申請を取りやめる行為です。
申請書類に不備があったり、帰化を許可することが難しい事情がある等の場合には、法務局の係官がアドバイスとして帰化申請を取り下げることを勧められることもあります。
このようなアドバイスを受けたときには、法務局の係官が「この内容だと不許可になる可能性が大きい」と判断している場合が多いので、取り下げを検討するタイミングかと思われます。
4.帰化申請は事前に行政書士に相談を
帰化申請は、国籍を変更する大変重要な手続きですから、あとから「やっぱり戻したい」という事態は避けたいですね。
帰化申請をするにあたっては、そのようなことがないように事前によく検討する必要があります。
また、せっかく申請したのに「あなたは難しいですよ」と法務局で取り下げを勧められるのも残念なことです。
帰化の要件・必要書類・申請の流れは、『帰化申請の要件・必要書類・費用・流れ』で詳しく解説しています。
5.帰化の取消しと日本国籍の「喪失」「離脱」の違い
帰化は、官報の告示の日から効力を生じます(国籍法10条2項)。帰化した後に、自分の意思で外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失います(国籍法11条1項)。また、外国の国籍を持つ日本国民は、法務大臣に届け出て日本の国籍を離脱できます(国籍法13条)。
このように、本人の意思による国籍の「喪失」や「離脱」は国籍法に定めがあり、虚偽の申請などを理由とする帰化の「取消し」とは別のものです。
出典:e-Gov法令検索「国籍法」(確認日:2026年10月24日)
よくある質問
- 帰化の効力はいつから生じますか?
- 官報で告示された日から効力を生じます(国籍法10条2項)。
- 帰化した後、元の国籍に戻ることはできますか?
- 日本の国籍を離脱する届出ができるのは、外国の国籍を持っている場合です(国籍法13条)。元の国籍を回復できるかどうかは、その国の法令によります。
- 帰化申請を取り下げた後、もう一度申請できますか?
- 国籍法には、再申請までの期間の定めはありません。取り下げた理由となった事情を見直してから申請することが大切です。
出典:e-Gov法令検索「国籍法」(確認日:2026年10月24日)
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