特定技能ビザ申請の流れ
2018年12月4日に交付された「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」により、在留資格「特定技能」の創設が行われました。
翌年2019年4月1日からは特定技能外国人の受入が開始され、外国人の方でも特定技能を申請しようと考えている方が増えてきています。
しかしその申請方法はケースごとに分かれているため、ややこしく感じる方もいるでしょう。
ここでは以下の4つに分けてそれぞれ解説します。
- 1.海外に住んでいる外国人の場合
- 2.日本に住んでいる外国人の場合
- 3.国籍によって必要な手続き
- 4.分野によってはビザ申請の前に協議会加入が必須
1.海外に住んでいる外国人の場合
海外に住んでいる外国人の方の場合、国内在住の外国人の方と少し異なります。
しかし大前提として、国内外で実施している特定分野と日本語の試験に合格している必要があります。
また、技能実習2号を良好に終了しているかどうかも重要なポイントです。
また、以前日本に在住していて、その際に技能実習2号を終了をして帰国しているケース。
この場合は、良好な状況であれば特定分野と日本語の試験が免除されるので、該当する方は活用しましょう。
それらを踏まえた上で、海外に住んでいる外国人の方が特定技能の申請をするなら以下の流れとなります。
- 試験に合格または技能実習2号を修了
- 雇用契約を結ぶ
- 1号特定技能外国人支援計画を策定
- 在留資格認定証明書の申請
- ビザを申請する
- 日本に入国をして就労する
このように日本に入国後、働く企業の協力が不可欠です。
また、海外に住んでいる外国人の方の場合、日本に滞在している外国人の方と違って、生活基盤が整っていないという点があります。
そのため、少しでも早く日本の生活に慣れて仕事に打ち込めるような体制を整えることが重要です。
2.日本に住んでいる外国人の場合
日本に住んでいる外国人の方の場合、海外に住んでいる時と若干異なります。
その中でも大きいのが、在留資格です。
日本に既に住んでいることもあって、外国人の方は既に在留資格を持っています。
特定技能を申請する際は、「変更」という形で行います。
この点が違うので、覚えておきましょう。
それらを踏まえた上で、日本に住んでいる外国人の方が申請する際は以下の流れで行います。
- 試験に合格または技能実習2号を修了
- 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
- 1号特定技能外国人支援計画を策定する
- 在留資格変更許可の申請をする
- 在留資格を変更する
- 就労を開始する
日本に住んでいる外国人の方も、海外在住の方と同様に特定分野と日本語に関する知識や経験が求められます。
また気になるポイントとして、在留資格の変更許可申請があるでしょう。
これは地方出入国在留管理局に出向くか、オンラインで申請すればOKです。
この際、本人による申請が原則なので注意しましょう。
在留資格変更が許可された場合は、手数料だけ支払えば特定技能の在留資格に変更されます。
3.国籍によって必要な手続き
特定技能ビザ申請は、全ての国籍の方が同一というわけではありません。
申請者の国籍によって手続きが変わります。
その中でも別途書類が必要なのが、以下の国籍の方です。
- フィリピン
- ベトナム
- 中国
- インドネシア
- ネパール
- ミャンマー
これらの国籍を有していて、中長期在留者として来日する場合、在留資格認定証明書交付申請の際に「結核非発病証明書」の提出が必要です。
これは厚生労働省が実施している入国前の結核スクリーニングによって義務付けられています。
証明書は、本国の日本国政府が指定する医療機関によって発行してもらってください。
結核非発病証明書が必要な理由は、近年、外国生まれの患者数が増加傾向にあることが背景にあります。
特に多数に感染する可能性が高い若年層で増加傾向にあり、先述した国籍の方が日本滞在中に発症するケースが見受けられます。
結核は非常に死亡率の高い病気であることから、こうした手続きが取られているのです。
4.分野によってはビザ申請の前に協議会加入が必須
特定技能ビザの申請には、協会への加入が必要となる場合があります。
協議会は企業が特定技能ビザを持っている外国人を適切に受け入れるために設立されている団体です。
ここで注意したいのが、全ての業種が事前に加入しなければならないわけではないという点。
以下の業種は加入が義務付けられているので注意しましょう。
- ● 製造業3分野
- ● ビルクリーニング
これらの業種は、特定技能ビザの外国人を雇う場合、速やかに協議会に加入してください。
その他の業種も協議会への加入の時期も明確に定められており、初めて特定技能1号の外国人を受け入れる場合、雇用開始後4ヶ月以内でなければなりません。
もし加入しなかった場合は、特定技能ビザの認定や変更、更新といった申請が不許可になる可能性があります。
そのため必ず加入しましょう。
一方で、加入の義務が発生するのは1人目の受入のみという点も忘れてはいけません。
2人目以降の受入の際は、不要となります。
協議会の加入と合わせて覚えておくと良いでしょう。
外国人・企業共に要件は確認しておく
特定技能ビザの申請を行う際、外国人と受入企業の両方が要件を確認しておかなければなりません。
どちらかが要件を満たしていないと受け入れることができないためです。
特定技能ビザを持っている外国人を雇う企業のことを、入管法上で特定技能所属機関と呼びます。
企業はまず特定技能所属機関となるために以下の要件を満たすようにしましょう。
- ・労働/社会保険/租税などの法令を遵守している
- ・1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事している労働者を非自発的に離職させていない
- ・1年以内に特定技能所属機関の責めに期すべき事由により行方不明外国人労働者を発生させていない
- ・5年以内に入管法や労働法違反により欠格事由に該当していない
- ・報酬を預貯金口座への振込により支払うこと
- ・特定技能協議会への加入
- ・外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有している
- ・中長期在留者の受入や管理を適性に行った実績があり、かつ役職員の中から支援責任者と支援担当者を選任している(兼任可)
- ・支援作人者等が欠格事由に該当しない
これらを満たした上で、更に外国人の方が日本で暮らす際に支援するための計画も必要です。
その際に評価される項目は以下の10項目になります。
- ・入国前外国人への事前ガイダンス
- ・出入国する際の送迎
- ・住居確保/生活に必要な契約支援
- ・生活オリエンテーション
- ・公的手続き等への同行
- ・日本語学習の機会の提供
- ・相談/苦情への対応
- ・日本人との交流促進
- ・転職支援
- ・定期的な面談/行政機関への通報
企業が満たす要件・取るべき行動は日本人従業員と比べても圧倒的に多いと言えます。
一方の外国人は、特定技能1号評価試験と日本語能力試験に合格している必要があります。
そのため受入前には、その外国人が要件を満たしているかどうかを必ず確認しましょう。
申請に必要な書類
特定技能ビザの申請に必要な書類は数多くあります。
1日や2日で集めるのが難しいため、ある程度時間をかけて集めることとなるでしょう。
必要な書類に関しては出入国管理庁が管理している「特定技能総合支援サイト」でダウンロードも可能です。
表紙などもあるため、事前に確認しておくことをオススメします。
それらを踏まえた上で、申請に必要な書類は以下になります。
- 【申請人本人に対しての書類】
- ・表紙
- ・特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
- ・在留資格認定証明書交付申請書
- ・特定技能外国人の報酬に関する説明書
- ・特定技能雇用契約書の写し
- ・雇用契約書の写し
- ・賃金の支払い
- ・雇用の契約に係る説明書
- ・徴収費用の説明書
- ・健康診断個人票
- ・受信者の申告書
- ・1号特定技能外国人支援計画書
- ・登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
- ・二国間取決において定められた遵守すべき手続きに係る書類
以上は申請人本人に対しての書類です。
続いて企業が提出するべき書類が以下になります。
- 【企業が提出するべき書類】
- ・特定技能所属機関概要書
- ・登記事項証明書
- ・業務執行に関与する役員の住民票の写し
- ・特定技能所属機関の役員に関する誓約書
- ・労働保険料等納付関係の証明書
- ・社会保険料加入状況回答表または健康保険
- ・厚生年金保険料領収書の写し
- ・税務署発行の納税証明書
- ・法人住民税の市町村発行の納税署
- ・公的義務履行に関する説明書
一部の書類に関しては初めてか受入中で、求められる期間の長さが違います。
更に外国人が在留資格を特定技能へと変更する場合、申請時に追加で以下の書類を求められます。
- 【特定技能へ変更する場合に追加で必要となる書類】
- ・直近1年分の個人住民税の課税証明書及び納税証明書
- ・給与所得の源泉徴収票
- ・申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- ・申請人の国民年金保険料領収書の写し
- ・申請人の被保険者記録照会
- ・公的義務履行に関する誓約書
このように非常に多くの書類を求められます。
申請を考えている際は、事前に書類をどれだけ集められるかがスムーズに申請するための鍵です。
申請時の注意点
特定技能のビザを申請する際、注意しなければいけない点があります。
難しい要件をクリアして、時間をかけて書類を集めたのですから、一度で許可を取りたいものですよね。</br > 申請時に失敗しないために、以下については注意してください。
- ・日本で発行される書類は発行から3ヶ月以内のものに限る
- ・出入国在留管理庁に掲載されている参考様式を使わない場合は、同様の内容を記載した書類が必要
- ・提出資料が外国語で作成されている場合、日本語訳文を添付しなければならない
- ・提出した資料は返却されない
- ・特定技能の相談は法務省および地方の出入国在留管理局でのみ可能
- ・申請は持参のみ受付
- ・特定技能へ在留資格を変更または更新をする際は4,000円の手数料が必要
中でも注意したいのが、原本の書類の期限です。
集めるのに時間がかかってしまうと、書類の期限が切れてしまう可能性があります。
追加の書類を求められた際も、同様のことが起こる可能性があります。
期限が切れると再申請となるため注意しましょう。
まとめ
特定技能は2019年に開始された新しい在留資格です。
その取得方法は日本在住・海外在住によって違ってくるため、どちらに該当するのかを把握した上で申請する必要があります。
また、一部の国籍を持っている方は、別途証明書も求められるため注意しましょう。
特定技能を持った外国人の方を受け入れるには、企業が様々な用紙を準備しなくてはなりません。
数も非常に多いため、申請の際には事前にある程度集めておくことをオススメします。
中には「3ヶ月以内に発行されたもの」と期間が決められているものもあるため、申請時に間違いのないように書類を揃えてくださいね。
特定技能ビザに関するご相談はClimbへ!
電話・問合せフォームからお気軽にご連絡ください!