目次
1. 特定技能「産業機械製造業」とは?
1.1 特定技能制度の基本的なしくみ
「特定技能」とは、人手不足が深刻な産業分野で即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。
2019年に新しく始まった制度で、特定技能1号・2号の2種類がありますが、「産業機械製造業」は現在、特定技能1号の対象分野です。
特定技能1号は、専門的な知識や技能を持ち、一定の日本語能力を有する外国人が、最長5年間働ける制度です。
対象分野は12あり、製造業系では以下の3つが含まれています。
- ● 素形材産業
- ● 産業機械製造業
- ● 電気・電子情報関連産業
このうち「産業機械製造業」は、部品の組み立てや機械加工、溶接など、まさにものづくりの現場で欠かせない分野なんです。
また、技能実習と違って転職も認められており、より労働者の権利が守られた仕組みになっています。企業にとっても、長く働いてもらいやすい制度といえますね。
1.2 産業機械製造業が対象となる理由
産業機械製造業は、日本国内の製造業の中でもとくに人手不足が深刻な分野のひとつです。
背景には、以下のような要因があります。
- ● 高齢化による技術者の引退が増加
- ● 若手の採用難が続いている
- ● 熟練が必要な業務が多く、定着率が低い
とくに地域の中小企業では、新卒採用もままならないという声も多く、慢性的な人手不足が長年続いてきました。
こうした状況をふまえ、政府は「産業機械製造業」を特定技能の対象とすることで、一定のスキルを持つ外国人労働者の受け入れを促進しているのです。
日本のものづくりを支える重要な分野だからこそ、海外の人材の力が期待されているというわけですね。
1.3 対象となる業務内容と職種の具体例
特定技能「産業機械製造業」で働けるのは、主に機械加工や組み立て、品質管理といった現場の中核を担う仕事です。
実際に対象となっている職種や業務内容の一部をご紹介しますね。
職種カテゴリ | 主な作業例 |
---|---|
機械加工 | NC旋盤、マシニングセンタの操作、切削、研削など |
組立作業 | 工具や手作業での組み立て、ボルト締め、配線など |
溶接 | アーク溶接、TIG溶接、半自動溶接など |
塗装 | スプレー塗装、下地処理、乾燥作業など |
検査・品質管理 | 測定器を使った検査、外観チェック、データ記録など |
これらの作業には、一定の訓練や経験が求められますが、逆に言えば「きちんと教育すれば即戦力になる」分野でもあります。
日本語がある程度できて、技能試験に合格した外国人材は、こうした現場で活躍できるようになっています。
2. 特定技能「産業機械製造業」の受け入れ条件
2.1 受け入れ可能な外国人の要件
特定技能「産業機械製造業」で働ける外国人には、いくつかの条件があります。
一番大切なのは、「即戦力として働けるレベルのスキルと日本語力を持っていること」。これが前提なんです。
具体的には、次のような条件を満たしている必要があります。
- ● 該当する技能試験に合格していること
- ● 日本語能力試験(N4以上)に合格していること
- ● 健康状態が良好であること
- ● 契約する企業がきちんとした支援体制を整えていること
また、過去に不法滞在などの問題がないかといった在留歴もチェックされます。
すでに日本で働いた経験がある方(技能実習や留学経験者など)は、その経歴もプラス評価につながります。
企業側にとっては、安心して採用できるよう、法的にも仕組みが整っているんですよ。
2.2 技能試験と日本語能力の基準
受け入れには、2つの試験をクリアする必要があります。
一つは、特定技能評価試験(産業機械製造業分野)。もう一つは、日本語能力を測る試験です。
【技能試験】
- ● 産業機械製造業に関する基本的な知識・作業技能が問われます
- ● 試験は国内外で実施されており、英語・母国語で受験可能
- ● 年に数回、開催国によって日程が異なる
【日本語試験】
以下のどちらかに合格すればOKです。
試験名 | 内容 | 合格基準 |
---|---|---|
日本語能力試験(JLPT)N4以上 | 読み書き・会話がある程度できるレベル | 合格点クリア |
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) | 主に会話中心、外国人向け | A2レベル以上 |
この2つの試験に合格すれば、「在留資格:特定技能(産業機械製造業)」を申請できるようになります。
試験自体はそれほど難関ではないですが、試験内容に合わせた事前準備がポイントになります。
2.3 技能実習からの移行パターン
技能実習2号を修了した方は、試験なしで特定技能に移行できる特例があります。
これは企業にとっても、本人にとってもありがたい制度なんです。
- 【移行の条件】
- ● 技能実習2号を良好に修了していること
- ● 該当する職種が「産業機械製造業」に該当していること
- ● 実習期間中の評価やトラブルがないこと
このルートを使えば、試験を受けずに「特定技能1号」に切り替えられるため、時間もコストもぐっと抑えられます。
特に製造業の現場では、技能実習生として働いていた方が、引き続き同じ工場で特定技能として再雇用されるケースが増えてきています。
信頼関係ができているぶん、定着率も高くなる傾向がありますよ。
2.4 留学生からの変更パターン
日本の専門学校や大学を卒業した外国人留学生も、条件を満たせば特定技能に変更できます。
ただし、こちらは少し注意が必要です。
- 【変更可能なケース】
- ● 留学中に学んだ内容が、製造業の仕事と関連していること
- ● 技能試験・日本語試験に合格していること
- ● 卒業後の在留資格変更手続きをスムーズに行うこと
学校卒業後にすぐ働きたいと思っても、試験の合否待ちや企業との契約準備などで時間がかかることもあります。
また、アルバイト経験だけではスキルとして認められにくいので、しっかり準備しておくことが大切です。
留学生の多くは日本での生活に慣れているため、コミュニケーション面では大きな強みを持っています。
そういった意味でも、企業側にとって採用しやすいルートといえますね。
3. 特定技能「産業機械製造業」の雇用企業にとってのメリットと注意点
3.1 人手不足の解消につながる理由
特定技能制度による外国人材の受け入れは、製造業界における慢性的な人手不足を補う現実的な解決策なんです。
とくに産業機械製造業は、専門的な技能が必要なうえに、若年層の人気が集まりにくいという現実があります。
実際に、国内の製造業ではここ数年、次のようなデータが示されています。
- ● 製造業全体での有効求人倍率:常に2倍以上
- ● 中小製造業での若年採用の充足率:50%未満
- ● 製造現場の労働者の平均年齢:45歳以上が過半数
このように、採用活動を行っても応募すら来ないという声が多いんですね。
そこで注目されているのが「特定技能」という制度。
海外から、機械加工・組立・溶接などの作業経験を持つ外国人材が、一定の試験を経て働けるようになります。
さらに、特定技能制度では同一業務で最大5年までの在留が可能で、途中での職場変更も可能なため、働く側にとっても柔軟で魅力的な制度なんです。
この制度があることで、これまで諦めていたラインの稼働率向上が現実的に見えてきた企業も多くなっていますよ。
3.2 コストや手続きの実情
外国人を雇用するには確かに費用がかかりますが、その多くは事前に想定できる範囲ですし、労働力としての価値を考えると十分に見合う内容です。
具体的にかかる主なコストとその背景を整理してみましょう。
項目 | 費用の目安 | 内容と背景 |
---|---|---|
在留資格申請手数料 | 数千円〜1万円程度 | 入管への申請時に必要。自社申請なら低コスト。 |
行政書士報酬 | 5万〜15万円 | 書類作成や申請代行を依頼した場合。信頼できる専門家の選定が大切。 |
登録支援機関への委託費 | 月額3〜6万円/1人 | 生活支援などのサポートを外注する際の費用。内容によって幅あり。 |
社宅・家具備品など | 初期費用5〜15万円程度 | 入居時の準備として必要。中古や社内備品での工夫も可能。 |
また、申請や受け入れまでには次のような流れになります。
- 1. 外国人材の採用(国内外の送り出し機関や求人媒体)
- 2. 技能・日本語試験の確認(または技能実習修了の証明)
- 3. 支援計画の作成・申請
- 4. 在留資格変更や認定申請
- 5. 入国〜勤務開始
ここでポイントなのが「支援体制を整えることが義務」になっている点です。
そのため、たとえば「外国人雇用はコストが不透明で心配…」という方は、最初から登録支援機関に一部を任せてしまうという選択もあります。
また、外国人材が定着すれば採用や研修のコストが削減されるため、中長期的には十分に費用対効果が高いと考えられますよ。
3.3 支援計画や生活サポートの義務
特定技能の受け入れでは、企業が「雇うだけ」では済まされません。生活全体を支援する義務があるんです。
これは、過去の技能実習制度での問題をふまえて制度設計されたため、受け入れ企業には手厚いサポート体制が求められます。
- 【企業が行うべき支援内容(一部抜粋)】
- ● 入国・帰国時の送迎対応
- ● 住宅確保と生活備品の整備
- ● 日本語での生活オリエンテーション(契約内容や生活マナー)
- ● 相談・苦情窓口の設置
- ● 毎月1回の面談実施と記録
- ● 公的手続き(住民票、銀行口座開設など)の支援
- ● 地域との交流機会の提供
こうした支援はすべて「支援計画書」に記載し、入管に届け出る必要があります。
とくに初めて外国人を雇用する企業では、「支援の質」がそのまま定着率に直結するので、手を抜けないところなんです。
もちろん、登録支援機関に一部または全部を委託することで、企業の負担を軽減することも可能です。
ですが、自社内で支援ができる体制を整えておけば、コスト削減にもつながりますし、現場との信頼関係も深まりますよ。
3.4 定着率を上げるポイント
せっかく受け入れた外国人材に長く働いてもらうためには、「仕事面」だけでなく「生活面」や「気持ちの面」にも寄り添う工夫が大切です。
特定技能人材は、母国と文化も言語も違う環境で働くわけですから、ちょっとした戸惑いや不安がきっかけで離職につながることもあるんです。
そこで、定着率を高めるには次のような取り組みが効果的ですよ。
- 1. 職場内の多言語対応とマニュアル整備
- 機械の操作方法や安全ルールは、イラストや多言語(日本語+母語)で分かりやすく伝えるようにしましょう。
- 2. 教育係や相談窓口の設置
- 現場リーダーや年齢の近い社員を「メンター」として担当させると、相談しやすくなります。
- 3. 福利厚生やイベントの工夫
- 休日の過ごし方や地元イベントへの参加など、日本の生活に楽しみを感じられる工夫を。
- 4. 成果をきちんと評価し、昇給制度を導入
- 「頑張れば評価される」と感じてもらうことで、モチベーションがアップします。
- 5. 家族とのコミュニケーションをサポート
- 母国の家族との通話や送金支援を企業が手伝うケースもあります。
「この会社なら安心して働ける」と思ってもらえる環境づくりが、結果的に離職を防ぎ、生産性向上にもつながります。
企業としても、単なる労働力確保ではなく「戦力として育てていく」という視点を持つことが、これからの外国人雇用には求められていきますよ。
4. 特定技能「産業機械製造業」の今後の展望
4.1 受け入れ人数の推移と政府の方針
特定技能「産業機械製造業」の受け入れ人数は、年々着実に増えています。
制度が始まった2019年には、産業機械製造業の受け入れ実績はごくわずかでしたが、コロナ禍を経て徐々に回復傾向にあります。
最新の統計では、2023年末時点で「産業機械製造業」分野での在留資格取得者は約4,000人以上となっており、今後も右肩上がりに増えると見込まれています。
政府もこの分野の人材不足に強く危機感を持っており、以下のような施策を進めています。
- ● 試験実施国の拡大(東南アジア中心に)
- ● 日本語学習支援の強化
- ● 手続きの簡素化
- ● 特定技能2号の対象拡大の検討
今後は、単なる「労働力」としてではなく、長期的に活躍できる人材として育てていく流れが強くなると考えられます。
4.2 技能レベルとキャリアアップの可能性
特定技能人材の多くは、継続的なスキル習得によって現場の主力になり得ます。
産業機械製造業では、経験を積むほどに高度な作業が可能になり、企業にとっても手放せない存在になります。
特定技能1号での在留期間は最長5年ですが、将来的には以下のようなキャリアアップも考えられます。
- ● 特定技能2号への移行(制度整備が進めば可能性あり)
- ● 永住権の申請(条件を満たせば申請可能)
- ● 管理職や班長的なポジションへの昇進
また、本人の努力と企業のサポート次第では、日本語能力の向上や資格取得を通じてさらに活躍の場が広がっていきます。
単なる一時的な労働力ではなく、「将来の仲間」として育てていく意識が、これからますます大事になっていきそうですね。
4.3 多国籍化が現場にもたらす変化
特定技能制度の拡大によって、製造業の現場は確実に「多国籍化」が進んでいます。
現在受け入れが多い国としては、以下のような傾向があります。
- ● ベトナム
- ● インドネシア
- ● フィリピン
- ● ミャンマー
- ● ネパール
それぞれ文化や習慣の違いがあるため、現場では相互理解や多文化共生の姿勢が求められています。
もちろん、最初は戸惑いもありますが、多様な価値観が加わることで、次のようなプラスの変化も起きています。
- ● コミュニケーション力が上がる
- ● 業務マニュアルの見直しが進む
- ● チームワーク意識が高まる
- ● 外国人社員の視点で改善提案が出る
「多国籍だから大変」ではなく、「多国籍だからこそ生まれる強み」を見出すことが、これからの企業には求められそうです。
5. 特定技能「産業機械製造業」なら行政書士法人Climbへ
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