介護で在留資格「特定技能」の外国人を雇用するには?条件・試験内容を解説

介護で在留資格の外国人を雇用

少子高齢化に伴い、介護現場での需要は年々増加しています。

外国人が介護の現場で働ける在留資格は、これまで3つありました。しかし、十分な人手が確保されてるとはいいがたく、2019年より「特定技能」が新たに介護の分野で働ける在留資格として加わりました。

ここでは、介護分野で特定技能のビザを利用して外国人を雇用する際、認められる業務内容や必要な試験、申請条件等についてご紹介します。

介護分野で特定技能の外国人を受け入れる背景と見込み人数

特定技能の在留資格は、人材が不足する14の産業分野に限って外国人の就労を認めています。なかでも、介護分野は深刻な売り手市場です。
2017年度の有効求人倍率は、全国平均が1.54倍なのに対して、介護は3.64倍と2ポイントも上振れる結果に。
政府は、2020年度末までに約26万人の追加人材が主張と試算。
こうした人手不足を背景に、むこう5年間で最大6万人の特定技能外国人の受入れを想定しています。

2019年現在、介護の分野で働く外国人の数はおよそ4, 300人。
これには、いまあるEPA(経済連携協定)や在留資格「介護」、そして技能実習制度を利用して滞在する人々がふくまれます。
特定技能の創設により、介護領域で働ける外国人の数が増加することは間違いありません。
特定技能の在留資格の申請条件や事業所に求められる条件を知り、適切に雇用に生かしてください。

特定技能の在留資格で認められる介護の範囲と、認められない業務

介護の分野では、特定技能の在留資格を得た外国人は、身体介護やそれに付随する支援業務を行うことができます。
具体的には、利用者の入浴、食事、排せつ等の介助、または施設でのレクリエーションの実施が含まれます。

ただし、訪問介護等の訪問系サービスは対象外です。
利用者の自宅を訪問介護員(ホームヘルパー)が直接訪れ、身体介護や掃除等の手伝いを行う事業では、特定技能の在留資格を利用して外国人を雇用することはできません。ご注意ください。

介護分野で、外国人が特定技能ビザを取得するのに必要な条件

介護分野は、特定技能1号のみ認められます。2号での適用はありません。
そのため、特定技能の在留資格を有した外国人が働けるのは、5年が上限となります。

介護分野では、ほかの産業分野と同様に、以下の3点が基本の申請条件です。

  • 18歳以上であること
  • 規定の日本語能力試験を合格していること
  • 規定の技能評価試験に合格していること

また、介護では通常の日本語能力試験に加えて、介護分野独自の日本語試験に合格する必要があります。
詳しい内容を、以下にご説明します。

介護で在留資格の外国人を雇用

介護分野で求められる特定技能1号の日本語能力と技能評価試験の内容

介護分野で定められている日本語能力試験と、技能評価試験の内容は以下の通りです。

介護で在留資格の外国人を雇用

<出典:厚生労働省『介護分野における特定技能外国人材の受入れについて』>

介護で認められる日本語試験と必要なレベル

介護分野では、在留資格を得るには以下の日本語試験に合格しなければいけません。

  • 国内:「日本語能力試験」N4以上
  • 国外:「日本語能力試験」N4以上 または「国際交流基金日本語基礎テスト」

上記に加え

  • 「介護日本語評価試験」

「日本語能力試験」または「国政交流基金日本語基礎テスト」では、ある程度の日常会話ができるかどうか、生活に支障がない程度の日本語能力を持っているかがチェックされます。
くわえて、「介護日本語評価試験」では介護現場で利用する業務上必要な水準に達しているかを評価します。

介護技能評価試験とは

コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施される試験です。
試験実施国の言語にて行われます。

【介護技能評価試験とは】

学科試験 40問:介護の基本、こころとからだのしくみ、コミュニケーション技術、生活支援技術
実技試験 5問:生活支援技術(写真等を掲示して、正しい介護の手順についての判別・判断を行わせる試験)

なお、試験の合格結果は受験日から10年間有効です。
2019年5月に、フィリピンで介護技能評価試験結果が発表され、84人が合格しました。試験の合格率は、74.3%です。
日本語試験・技能評価試験の両方をクリアした外国人が、順次国外・国内で特定技能の在留資格を申請していくことになります。

介護分野で日本語試験・技能評価試験が免除される人材

以下の外国人は、日本語試験および技能評価試験を免除で特定技能1号の在留資格を申請することができます。

  • 技能実習2号修了生
  • 介護福祉士養成施設修了者
  • EPA(経済連携協定)で介護福祉士候補者として4年間就労・研修に従事した者

EPA介護福祉士候補者については、直近の介護福祉士国家試験の通知書で、合格基準点の5割以上の得点があり、すべての試験科目で得点があることが条件です。

くわしい手続きはこちらをご確認ください。

介護分野で特定技能外国人を雇用するさいの3つの注意点

特定技能の在留資格で外国人を雇用する際、介護の事業所は以下の3点に注意してください。

介護の事業所が受入れられる特定技能外国人の人数には上限がある

特定技能の在留資格で雇用できる人材には限りがあります
事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。
「日本人等の常勤介護職員」には、以下の人々が該当します。

  • 日本人および次の在留資格で働く職員
  • 介護
  • 特定活動(EPA介護福祉士)
  • 永住者
  • 日本人・永住者の配偶者等
  • 定住者
  • 特別永住者

上限を超えての在留資格申請は認められません。
また、雇用できるのはフルタイムのスタッフのみという点にも注意が必要です。

▼そのほか、特定技能外国人の雇用条件については下記をご覧ください。
特定技能の受入れ機関とは?特定技能ビザで外国人を雇用できる基準と義務

介護分野における特定技能協議会に加盟すること

特定技能の在留資格で外国人を受入れる事業所は、厚生労働省が組織する協議会に参加し、必要な協力をおこなうこととされています。
協議会への加入手続きは、はじめて特定技能外国人を受入れた日から、4か月以内に行います。

特定技能外国人は、雇用してすぐに配置基準にふくめられる

特定技能の在留資格を有する外国人は、技能実習で3年修了した人材と同等の能力を有しているとみなされます。
そのため、研修等なく雇用してすぐ配置基準にふくめることが可能です

ただし、特定技能の枠組みでは、受け入れる事業所が外国人に対して適切な支援計画を実施する義務を負っています。
日本語のサポートや職務上・生活上のオリエンテーションは受け入れ機関が負うべき義務のひとつです。

▼支援計画についてくわしくはこちら
登録支援機関とは?|登録に必要な要件と特定技能1号への支援計画内容

特定技能と、ほかの介護分野の在留資格との関わり

介護分野には、現在4つの就労可能な在留資格が存在します。

  • EPA(経済連携協定)
  • 在留資格「介護」
  • 技能実習
  • 特定技能1号

介護で在留資格の外国人を雇用

<出典:厚生労働省『外国人介護人材受け入れの仕組み』>

このうち、技能実習と特定技能には在留期間に定めがありますが、EPA介護士と在留資格「介護」には定めがありません。
そのため、就労している外国人がこれら2つの在留資格を取得した場合、継続して事業所で雇用できます。

一定の条件を満たした者は、別の在留資格への申請が可能です。特定技能とのかかわりをご紹介します。

技能実習2号修了生は、特定技能1号へ移行できる

介護の分野で技能実習生として入国した外国人が、3年就労し技能実習2号を修了した場合、日本語・技能評価試験免除で特定技能1号を申請することが可能です。

事業所内で技能実習生の介護職員を受け入れている場合、途中から特定技能1号に切り替えることで、さらに長い期間雇用することができます。

特定技能2号は認められていないため、1号での滞在上限は5年

特定技能には1号と2号の区分があります。
2号は、在留期間に定めがありません。しかし介護分野は1号のみの適用のため、外国人を特定技能1号として雇用できるのは5年が上限です。

特定技能1号として3年間就労したのち、当該外国人が介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」で滞在期間の上限なく働くことが可能です。
また、特定技能では認められていない「訪問系サービス」での就労も可能になります。

まとめ:特定技能「介護」のビザは、現場の雇用間口を広げる

ご紹介したように、ほかの介護での就労可能な在留資格にくらべ、特定技能のビザでは、より外国人を雇用しやすくなります。そのため、人手不足に悩む企業にとっては、よい採用手段となるでしょう。
ただし、特定技能外国人の雇用には、受入れ企業が守るべき雇用条件や行うべきサポートなど、細かく定められています。企業側が受入れの体制を整えた上で、雇用することが適切な就労につながります。
また、特定技能1号で雇用できるのは5年が上限です。本人の意志によっては、ほかの就労ビザへの移行可能性を伝え、キャリアを検討するようにしましょう。

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