「特定技能外国人の受け入れを検討しているが、協議会への加入方法を知りたい」
「協議会という言葉を求人情報や制度説明で見かけるものの、すべての分野で加入が義務付けられているのかを知りたい」
外国人を受け入れるにあたって、このような悩みを抱えているため準備が進まない人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
協議会への加入ルールは2024年6月に大きく変更されており、古い情報のまま「受入れ後4ヶ月以内でいい」と思い込んでいると、在留資格の申請自体ができないという重大なトラブルにつながりかねません。
そこで本記事では、「特定技能の協議会加入」について解説します。「協議会加入が義務付けられている分野一覧」や「最新の加入タイミング」、「加入手順」や「費用」にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
特定技能の協議会とは何か
特定技能の外国人を受け入れるにあたって、企業が意識しなければならないものの1つに協議会があります。
まず、そもそも協議会とは何なのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 協議会の役割・目的
- ● 加入が義務付けられている理由
協議会の役割・目的
特定技能の協議会とは、特定技能制度を適正に運用するために、分野ごとの所管省庁が設置する公的な組織のことです。
受入れ機関(企業)・業界団体・登録支援機関・関係省庁などが構成員となり、以下のような活動をしています。
- ● 制度の趣旨や最新の改正情報の周知・法令遵守の啓発
- ● 地域ごとの人手不足状況の把握
- ● 特定技能外国人の適正な就労環境の確保・保護
- ● 悪質な受入れ機関の排除
こうした点から、協議会は単なる形式的な登録先ではなく、外国人材が安心して働ける環境を業界全体で維持するための仕組みである、と認識しておくと良いでしょう。
参考:法務局 | 特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について
加入が義務付けられている理由
協議会への加入義務が義務付けられているのは、出入国在留管理庁が定める特定技能制度の運用要領に起因します。
各分野の「分野別運用方針」において、受入れ機関は協議会の構成員になることが義務付けられているのです。そのため、加入していなければ、そもそも特定技能外国人を受け入れることができません。
なぜ義務付けられているのかというと、受入れ企業が制度のルールを正しく理解し、外国人材を適正に処遇しているかを業界全体でチェックする仕組みとして設計されているためです。
こうした点から、加入は任意の選択ではなく、特定技能外国人を受け入れるすべての企業に課された法的な義務である点を理解しておく必要があります。
協議会加入が必要な分野一覧
特定技能の外国人の受入を検討している方の中には、加入が必要なのかどうか疑問を抱いている方もいるでしょう。
以下にわけて、詳しく解説します。
- ● すべての分野で加入が必須
- ● 各分野の協議会名称と所管省庁
すべての分野で加入が必須
2026年9月現在、特定技能外国人を受け入れるすべての分野で、協議会(または受入れ実施法人)への加入が義務付けられています。
そのため、どの分野であろうと協議会への加入が義務だと認識しておきましょう。
参考:法務局 | 特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について
各分野の協議会名称と所管省庁
各分野の協議会名称・所管省庁は、以下のとおりです。
| 分野 | 協議会・実施法人の名称 | 所管省庁 |
|---|---|---|
| 介護 | 介護分野特定技能協議会 | 厚生労働省 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング分野特定技能協議会 | 厚生労働省 |
| 工業製品製造業 | 製造業外国人材受入支援機構(JAIM) | 経済産業省 |
| 建設 | 建設技能人材機構(JAC) | 国土交通省 |
| 造船・舶用工業 | 造船・舶用工業分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 自動車整備 | 自動車整備分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 航空 | 航空分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 宿泊 | 宿泊分野特定技能協議会 | 国土交通省(観光庁) |
| 自動車運送業 | 自動車運送業特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 鉄道 | 鉄道分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 農業 | 農業特定技能協議会 | 農業特定技能協議会 |
| 漁業 | 漁業特定技能協議会 | 農林水産省 |
| 飲食料品製造業 | 食品産業特定技能協議会(外食業と統合) | 農林水産省 |
| 外食業 | 食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業と統合) | 農林水産省 |
| 林業 | 林業特定技能協議会 | 農林水産省 |
| 木材産業 | 木材産業特定技能協議会 | 農林水産省 |
飲食料品製造業と外食業は同じ「食品産業特定技能協議会」に統合されているため、両分野で外国人を受け入れる場合は、加入手続きが1回で済みます。
また、工業製品製造業分野は2025年7月からJAIM(製造業外国人材受入支援機構)への加入が必要となったため、従来の「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」から移行しています。
協議会加入の手順
特定技能の外国人を受け入れるには、協議会加入が必須なのは先述したとおりです。では、どのような手順で加入すれば良いのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 加入のタイミング
- ● 加入申請の方法(オンライン・書面)
- ● 加入に必要な書類・情報
加入のタイミング
協議会加入のタイミングは、2024年6月15日を境に、以下のように大きく変更されています。
| 期間 | 加入タイミングのルール |
|---|---|
| ~2024年6月14日 | 特定技能外国人を受け入れてから4ヶ月以内に加入すれば良かった |
| 2024年6月15日~(現行) | 在留資格の申請前に協議会への加入を完了し、加入証明書を申請書類とともに提出しなければならない |
2026年現在は、協議会への加入タイミングは「受け入れ後」ではなく「申請前」です。古い情報のまま手続きを進めると、在留資格の申請自体ができなくなるリスクがあるため注意しましょう。
なお、加入審査には数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。採用が決まった時点で、速やかに加入手続きを開始してください。
加入申請の方法(オンライン・書面)
加入申請の方法は、オンライン・書面の2つのパターンがあります。申請側がやりやすい方を選んで大丈夫ですが、以下のように分野によって異なるため注意しましょう。
| 申請方法 | 注意点 |
|---|---|
| オンライン申請 | 食品産業特定技能協議会(農林水産省)は専用の加入申請フォームから申請しなければならない |
| 書面申請 | 自動車整備・航空・宿泊分野等は国土交通省のホームページから必要書類をダウンロードし、管轄の地方運輸局や協議会事務局へ郵送・メール送付が必要 |
| 個別の加入手続き | 建設分野はJAC、工業製品製造業分野はJAIMへの加入が必要 |
このように、分野ごとに提出先・提出方法が異なります。
2026年現在、すべての分野で加入方法が統一されているわけではないため、自社が該当する分野の所管省庁のWebサイトで最新の加入方法を確認することをおすすめします。
協議会加入に必要な書類・情報
協議会に加入するにあたって、企業が用意しなければならない書類や情報があります。一般的に、求められるのは以下のとおりです。
- ● 受入れ機関の名称・所在地・代表者情報(法人の場合)または氏名・住所(個人事業主の場合)
- ● 事業所で行う事業の産業分類(協議会が対象とする分野に該当しているかの確認)
- ● 出入国在留管理局(地方出入国在留管理官署)に提出した誓約書の写し(分野による)
- ● 加入費・年会費の支払い(有料分野の場合)
なお、事業所の産業分類が、申請先協議会の対象分野に該当していない場合は加入が認められません。
そのため、事前に自社の事業内容が対象分野の業務区分に含まれているかを確認しておきましょう。
協議会加入の費用
協議会の加入に際して気になるのが、費用です。外国人材を受け入れるにあたって、協会加入でどの程度のコストが発生するのか、以下にわけて詳しく解説します。
- ● 分野別の加入費用(無料~有料)
- ● 建設分野(JACへの加入)は費用発生
分野別の加入費用(無料~有料)
協議会への加入費用は、2026年時点でほとんどの分野が無料です。有料となっているのは、以下の2つの分野のみとなっています。
- ● 建設分野(JAC)
- ● 工業製品製造業分野(JAIM)
上記以外の分野は、年会費・月会費ともに無料です。ただし、今後変更される可能性もあるため、加入前に確認しておくのをおすすめします。
建設分野(JACへの加入)は費用発生
建設分野は他の分野と異なり、加入に費用が発生します。2026年現在、以下のとおりです。
| 加入形態 | 費用の目安 |
|---|---|
| JAC正会員(建設業者団体) | 年会費36万円 |
| JAC賛助会員として直接加入 | 年会費24万円 |
| JAC正会員団体傘下の受入企業(個人) | 会費は不要(所属する建設業団体への会費が別途必要) |
| 受入負担金 | 特定技能外国人の受け入れ1名ごとに月額12,500円 |
工業製品製造業分野のJAIMについても、2025年度から企業規模等に応じた年会費が設定されています。
なお、有料分野については金額が年度や制度変更によって改定される可能性があるため、手続きを進める前に必ずJACやJAIMの公式Webサイトで最新の費用を確認するようにしましょう。
参考:一般社団法人 建設技能人材機構 | 年会費と受入負担金
協議会に加入しなかった場合のリスク・ペナルティ
特定技能の外国人を受け入れる企業が、協議会に加入していないと、在留資格の許可を得られません。現行のルールでは、協議会の加入証明書を在留資格申請の書類とともに提出する必要があるためです。未加入のまま申請しても受理されない、または審査が進まないという事態になります。
特に、建設分野では、JACへの加入が国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定基準のひとつとなっています。そのため、JACに加入して受入計画の認定を受けなければ在留資格申請そのものができない仕組みです。
こうした点から、「まず外国人を採用してから協議会の手続きを進めよう」という順序で進めてしまうと、受け入れ全体のスケジュールが大幅に遅れるリスクがあります。採用が決まった段階で、速やかに加入手続きに着手しましょう。
よくある質問
- 加入前に外国人を雇用してしまったら?
- 協議会への加入が完了していない状態では、在留資格の変更・更新・認定証明書交付のいずれの申請も進められません。すでに特定技能の外国人の採用を決めている場合でも、在留資格の申請前に協議会加入を完了させ、加入証明書を取得しておく必要があります。まだ加入していない場合は、速やかに該当する協議会への加入手続きを開始してください。
- 複数分野で受け入れる場合は複数加入が必要?
- 原則として、受け入れる分野ごとに協議会への加入が必要です。ただし、飲食料品製造業と外食業は同じ「食品産業特定技能協議会」に統合されているため、この2分野については1回の加入手続きで両方をカバーできます。それ以外の分野を複数受け入れる場合は、それぞれの分野の協議会に個別に加入する必要があります。
まとめ
特定技能の協議会加入は、外国人を受け入れるすべての分野で義務付けられている手続きです。2024年6月15日以降は「在留資格申請前に加入を完了させる」というルールに変更されているため、注意しましょう。
古い情報のまま「受け入れ後4ヶ月以内でいい」と考えていると、在留資格の申請自体ができないという重大なトラブルにつながるため注意が必要です。
加入費用は建設分野(JAC)と工業製品製造業分野(JAIM)を除いて無料ですが、加入審査には数週間から数ヶ月かかることもあります。そのため、採用が決まった段階で速やかに手続きを開始しましょう。
自社が該当する分野の協議会・加入方法・必要書類を事前に確認し、余裕を持ったスケジュールで受け入れ準備を進めることが大切です。もし、手続きに不安がある場合は、特定技能制度に精通した行政書士への相談も検討してみましょう。