外国人の方が永住許可申請をするときは、提出書類の一つとして「身元保証書」が必要です。身元保証書には、身元保証人となる方の自筆による署名が求められます。
一方で、「保証人」という言葉から借金の連帯保証人を連想し、依頼を断られてしまうケースも少なくありません。本記事では、これから身元保証人を探す申請者の方と、身元保証人を頼まれた方に向けて、身元保証人になれる人の条件・責任の範囲・頼み方と必要書類を、出入国在留管理庁の公表情報をもとに解説します。
【結論】永住申請の身元保証人のポイント
- ● なれる人:通常、日本に居住する日本人・永住者・特別永住者
- ● 責任の範囲:身元保証人に対する法的な強制力はなく、いわば道義的責任にとどまる
- ● 保証する内容(永住許可申請用の身元保証書):申請人が法令を遵守し、公的義務を適正に履行するための「必要な支援」
- ● 身元保証人に用意してもらうもの:身元保証書(自筆署名)と本人確認書類の写し(運転免許証の写し等)
1.永住申請の身元保証人とは
出入国在留管理庁は、入管法における身元保証人を次のように説明しています。
外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人
(出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」)
永住許可申請では、この身元保証人が署名した身元保証書を提出する必要があります。身元保証人がいなければ永住申請を行うことはできないため、申請準備の早い段階で依頼先を決めておくことが大切です。
2.身元保証人になれる人(条件)
▼ 日本に居住する日本人・永住者・特別永住者
出入国在留管理庁は、永住許可申請の身元保証人について「通常、日本に居住する日本人、永住者又は特別永住者の方になっていただきます」と案内しています。なお、日本人・永住者の配偶者の方が申請する場合は、通常は配偶者の方が身元保証人になります。
申請人よりも日本に滞在できる期間が短い方では、身元保証の内容を果たせない可能性があるため、長く日本に住み続けられる日本人・永住者・特別永住者が適任とされています。
▼ 安定した収入があり、税金を納めていること(実務上のポイント)
公表されている条件として明記されているわけではありませんが、身元保証の実効性という観点から、実務上は安定した収入があることや住民税などを滞納していないことが望ましいとされています。年収がいくら以上といった基準はなく、働いていて定期的な収入がある方であれば、通常は問題になりません。
なお、現在の提出書類一覧では、身元保証人について求められるのは身分事項を明らかにする書類(運転免許証の写し等)であり、身元保証人の収入や納税を証明する書類の提出は求められていません。
▼ 実際によく依頼される相手
- ・配偶者(日本人・永住者・特別永住者の場合)
- ・勤務先の上司・同僚(日本人・永住者の方)
- ・友人・知人、日本に住む親族(日本人・永住者・特別永住者の方)
申請人の生活や仕事ぶりをよく知っている方にお願いすると、依頼もしやすく、身元保証の趣旨にも合います。
3.身元保証人の責任の範囲
▼ 永住許可申請用の身元保証書で保証する内容
永住許可申請用の身元保証書では、身元保証人は次の内容を保証します。
本人が本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うことを保証いたします。
(出典:出入国在留管理庁「身元保証書(永住許可申請用)」)
永住以外の在留申請で使う身元保証書(各申請共通)では「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」の3項目を保証する様式になっていますが、永住許可申請用の身元保証書は文言が異なります。永住申請の身元保証人が約束するのは、申請人が日本のルールを守り、納税などの公的義務をきちんと果たせるよう支援することです。
▼ 法的責任はなく「道義的責任」にとどまる
出入国在留管理庁は、身元保証書に示す保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、履行しない場合でも当局からの指導にとどまるとしています。借金の連帯保証人とは、性質が大きく異なります。
| 項目 | 借金の連帯保証人 | 永住申請の身元保証人 |
|---|---|---|
| 本人に代わって支払う義務 | あり | なし |
| 裁判・強制執行による取り立て | あり | なし |
| 申請人が起こしたトラブルの損害賠償 | - | 身元保証人に請求されることはない |
| 約束を果たさなかった場合 | 法的責任を負う | 入管からの指導にとどまる(道義的責任) |
▼ 保証事項を果たさなかった場合
法的な責任は生じないものの、保証事項の履行が不十分とされた場合は、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされ、社会的な信用を失うことになります。出入国在留管理庁はこれを「いわば道義的責任」と説明しています。
「法的責任がないから何もしなくてよい」というものではなく、申請人が困ったときに相談に乗る・必要な助言をするといった、身元保証人としての役割を理解したうえで引き受けることが大切です。
4.身元保証人の頼み方
▼ 依頼する前に準備すること
身元保証人を断られる理由の多くは、「借金の保証人のように重い責任を負うのでは」という誤解です。依頼する前に、出入国在留管理庁の身元保証書の様式と、身元保証人の責任に関する公式の説明(法的な強制力はないこと)を用意し、実物を見せながら説明するとスムーズです。
▼ 依頼するときに伝えたいポイント
- ・借金の連帯保証人ではなく、お金を肩代わりする法的義務はないこと
- ・お願いしたいのは、身元保証書への署名と、本人確認書類(運転免許証等)の写しの提供であること
- ・自分の在留歴・勤務先・納税状況など、申請の状況を正直に伝えること
- ・永住許可後も、日本のルールを守って生活していくつもりであること
▼ 身元保証書の記入項目
永住許可申請用の身元保証書では、身元保証人について次の項目を記入します。
- ・氏名(身元保証人本人が自筆で署名)
- ・住所・電話番号
- ・職業(勤務先)・電話番号
- ・国籍・地域(外国籍の場合は在留資格・在留期間)
- ・被保証人(申請人)との関係
様式は出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます(日本語版・英語版あり)。
▼ 身元保証人に用意してもらう書類
現在の提出書類一覧では、身元保証人に関する書類は①身元保証書と②身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証の写し等)です。申請区分や個別の事情により追加資料を求められることもあるため、最新の提出書類一覧を確認しておきましょう。
5.よくある質問
▼ Q. 永住者ではない外国人の友人に身元保証人を頼めますか?
A. 出入国在留管理庁は、身元保証人には通常、日本に居住する日本人・永住者・特別永住者がなるものと案内しています。就労ビザなど期限のある在留資格の方は、身元保証人としては適切でないと判断される可能性が高いため、日本人・永住者・特別永住者の方に依頼しましょう。
▼ Q. 身元保証人が見つからない場合はどうすればいいですか?
A. まずは配偶者、勤務先の上司・同僚、友人・知人など、日本人・永住者・特別永住者で申請人をよく知っている方に、上記のポイントを説明したうえで改めて相談してみましょう。なお、当事務所では身元保証人の引き受けは行っていませんが、依頼先の考え方や、身元保証人の方への説明の仕方についてはご相談いただけます。
▼ Q. 永住許可が出た後、身元保証人をやめることはできますか?
A. 身元保証人をやめたい場合の考え方や注意点は、永住者の保証人を辞めたい!身元保証人の責任とはで詳しく解説しています。
6.まとめ
永住申請の身元保証人は、通常、日本に居住する日本人・永住者・特別永住者が務めます。身元保証人に法的な強制力はなく、責任は道義的なものにとどまりますが、申請人が法令を守り公的義務を果たせるよう支援する役割があります。
依頼するときは、身元保証書の様式と公式の説明を見せながら、責任の範囲とお願いしたい内容(署名と本人確認書類の写し)を正しく伝えることが大切です。
永住申請全体の要件・必要書類・費用・流れは永住権(永住ビザ)の申請|要件・費用・流れで、申請書の「在日親族」欄と身元保証人の違いは「在日親族」とは?入管申請書の書き方と身元保証人との違いで解説しています。
参考:出入国在留管理庁「永住許可申請」/出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」
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