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留学生が経営・管理ビザを取るには?卒業後の4つのルートと2025年10月改正後の要件【学士だけでは不可】

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日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、就職ではなく起業を選ぶとき、必要になるのが在留資格「経営・管理」(経営管理ビザ)です。ただし、2025年10月16日の基準省令改正で、経営・管理ビザは「学位または経験」「財産3,000万円」「常勤職員」「日本語能力」が求められるようになり、卒業してすぐに取れる在留資格ではなくなりました。この記事では、留学生が経営・管理ビザに至るまでの4つのルート(卒業後すぐの変更、卒業後6か月の起業活動、最長2年の起業活動、スタートアップビザ)と、それぞれの要件・期間・注意点を、出入国在留管理庁の公表資料にもとづいて整理します。

この記事の結論

  • 「留学」から「経営・管理」へ直接変更するには、改正後の5つの要件(事業所、財産3,000万円+常勤職員1名、日本語B2相当、学位または3年の経験、事業計画書の専門家確認)をすべて満たす必要があります。学士(学部卒)だけでは学位の要件に含まれていません。
  • すぐに満たせない場合は、卒業後の起業活動のための「特定活動」(最長6か月、または対象校の卒業生は最長2年)や、自治体のスタートアップビザ(最長2年)で準備期間を確保する方法があります。
  • 日本の大学・専門学校を卒業していれば、日本語能力B2相当の要件は卒業証明書で満たせます(外国語で授業を行う課程・通信課程を除く)。

1.留学生が経営・管理ビザを取るための4つのルート

留学生が起業して「経営・管理」の在留資格を得る道は1つではありません。ご自身の学位・資金・大学の支援体制によって、次の4つのルートのどれを使うかが変わります。

ルート在留資格期間主な要件
① 卒業後すぐに変更留学 → 経営・管理卒業までに会社設立・事業所・資金・常勤職員の準備を終える改正後の5つの要件をすべて満たす(2.参照)
② 卒業後の起業活動留学 → 特定活動 → 経営・管理更新を含めて最長で卒業後6か月大学(短期大学を除く)の学部・大学院卒、修士以上または3年の職歴、3,000万円の資金調達と常勤職員の雇用が確実、大学の推薦と起業支援
③ 対象校の卒業生の起業活動留学 → 特定活動 → 経営・管理最長2年「留学生就職促進プログラム」採択校・参画校または「スーパーグローバル大学創成支援事業」採択校を卒業し、在学中から起業活動を行い、大学の誓約書がある
④ スタートアップビザ留学 → 特定活動 → 経営・管理最長2年経済産業大臣の認定を受けた自治体等の管理・支援を受け、起業準備活動計画の確認証明書の交付を受ける。1年以上の事業経験または博士・修士・専門職学位

※出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」、出入国在留管理庁「本邦の大学等を卒業して起業活動を行うことを希望する方」、出入国在留管理庁「本邦の大学等を卒業した留学生による起業活動に係る措置について」、出入国在留管理庁「外国人起業家(外国人起業活動促進事業)」/確認日:2026年11月5日

2.「経営・管理」の改正後の要件と、留学生がつまずきやすい点

2025年10月16日以降の申請には、次の要件がすべて適用されます(出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」主な改正内容1〜5、確認日:2026年11月5日)。

● 事業所
事業を営むための事業所が日本に確保されていること。自宅との兼用は原則として認められません。
● 事業の規模(財産3,000万円+常勤職員1名)
事業に投下された財産の総額が3,000万円以上であることと、経営者本人以外に常勤職員1名以上(日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)が従事していることの両方が必要です。「留学」や「技術・人文知識・国際業務」で在留する友人は常勤職員に数えられません。
● 日本語能力(B2相当)
経営者本人または常勤職員のいずれかが、「日本語教育の参照枠」B2相当以上の日本語能力を持っていること。日本語能力試験N2以上、BJT400点以上のほか、日本の大学等高等教育機関を卒業していることでも証明できます。専門学校(専門課程)や高等専門学校の卒業も含まれますが、恒常的に外国語で授業を行う課程や通信教育の課程は除かれます(同Q&A 問13・問15)。
● 経歴(学位または3年の経験)
経営管理の分野または事業に必要な技術・知識の分野の博士・修士・専門職学位を持っているか、事業の経営または管理について3年以上の経験があること。この経験には、「特定活動」で行った起業準備活動の期間を含めることができます。学士(学部卒業)は学位の要件に挙げられていないため、学部を卒業したばかりで経験がない方は、この要件を満たせません。留学生にとって最も大きな壁です。
● 事業計画書の専門家による確認
事業計画書は、中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかの確認を受けたものを提出します(同Q&A 問16〜問18)。

要件の全体像と「緩和」という誤情報については「経営管理ビザの要件は2025年10月に大幅厳格化|「緩和」ではありません」、3,000万円の数え方は「経営管理ビザの資本金は3,000万円に|旧500万円要件との違いと出資金の出所証明」をご覧ください。法人を作らずに個人事業主として申請する場合は「個人事業主で経営・管理ビザは取れる?」で解説しています。

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3.ルート②:卒業後6か月の「起業活動」(特定活動)

卒業時点で会社設立や資金の準備が終わっていない場合、「留学」から「特定活動(大学卒業後の起業活動)」に変更して、卒業後最長6か月(更新を含む)の間に起業の準備を進めることができます。入管庁の案内では、次の要件が示されています(出典:出入国在留管理庁「本邦の大学等を卒業して起業活動を行うことを希望する方」、確認日:2026年11月5日)。

  • ● 「留学」で在留し、学校教育法上の大学(短期大学を除く)の学部または大学院を卒業(修了)したこと
  • ● 在学中の成績・素行に問題がなく、在学中から起業活動を始めており、大学が推薦すること
  • ● 経営に関する分野または起業する事業に関連する分野の修士以上の学位・専門職学位を持つこと、または事業の経営・管理について3年以上の職歴があること
  • ● 起業に必要な資金として3,000万円以上を調達していることと、常勤職員を雇用することが確実であること(助成金・融資の決定や、個人事業の場合に既に投下した額も条件を満たせば含まれます)
  • ● B2相当の日本語能力を持つこと、または同等の能力を持つ常勤職員を雇用することが確実であること
  • ● 中小企業診断士・公認会計士・税理士の評価を受けた事業計画書があること
  • ● 大学が起業支援(教育・育成、事業計画の策定支援、資金・物件の調達支援のいずれか)を行い、毎月起業活動の状況を確認すること

つまり、このルートは「経営・管理」の要件とほぼ同じ水準を、卒業の時点で満たしている(または満たすことが確実である)ことを前提に、会社設立・登記・事業所の契約などの手続きを終えるための期間として使う制度です。資金や学位の要件を後から整えるための猶予ではない点に注意してください。必要書類は特定活動ビザ「大学卒業後の起業活動」のページにまとめています。

4.ルート③:対象校の卒業生は最長2年の起業活動ができる

2020年11月から、優秀な留学生の受入れに取り組む大学等の卒業生については、卒業後も起業活動を続けるための「特定活動」で最長2年間の在留が認められています。対象は、文部科学省の「留学生就職促進プログラム」の採択校・参画校、または「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校(大学・大学院・短期大学・高等専門学校)を卒業し、在学中から起業活動を行っていた方です。申請には、対象校であることが分かる資料と、大学等が作成した誓約書(発行日から1か月以内)が必要で、更新のたびに大学の誓約書を出し直します(出典:出入国在留管理庁「本邦において優秀な留学生の受入れに意欲的に取り組んでいる大学等を卒業して起業活動を行うことを希望する方」、同「本邦の大学等を卒業した留学生による起業活動に係る措置について」、確認日:2026年11月5日)。

この2年間に起業活動を完了し、「経営・管理」への在留資格変更許可申請を行います。スタートアップビザ(下記ルート④)などを利用した後に起業に至らなかった卒業生も、追加の要件を満たせばこの措置に移ることができ、その場合は事業に基づく在留と合わせて最長2年です。対象校かどうかは、文部科学省の採択校一覧で確認できます。

5.ルート④:スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)

経済産業大臣の認定を受けた地方公共団体または民間事業者(外国人起業促進実施団体)の管理・支援のもとで起業準備を行う制度です。実施団体から「起業準備活動計画確認証明書」の交付を受け、「特定活動」で最長2年間、起業準備活動ができます。申請には、事業の経営・管理の経験が1年以上あることを示す文書、または博士・修士・専門職学位を示す文書のいずれかが必要です(出典:出入国在留管理庁「外国人起業家(外国人起業活動促進事業)」、確認日:2026年11月5日)。

2025年10月15日以前に確認証明書の交付を受けてこの特定活動で在留している方が「経営・管理」に変更する場合は、改正前の基準が適用されます。また、スタートアップビザで行った起業準備活動の期間は、経営・管理の経歴要件「3年以上の経験」に含めることができます(出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」主な改正内容4・Q&A 問32、確認日:2026年11月5日)。

6.留学生が準備すべきことの順番

1. 在学中:学位と経験の見通しを決める
学部卒で経験がない場合、卒業後すぐの「経営・管理」は経歴要件で止まります。大学院への進学で修士を取るか、ルート③・④の起業活動の期間を経験として積み上げるか、方針を先に決めます。
2. 在学中:大学の起業支援制度を確認する
ルート②・③はいずれも大学の推薦・誓約書・支援が前提です。所属大学が対象校か、起業支援の窓口があるかを、卒業の1年以上前に確認しておきます。
3. 資金3,000万円の出所を記録に残す
本人の貯蓄、親族からの送金、融資の決定など、資金の形成過程を証明できる資料を集めます。海外からの送金は、送金元・日付・金額が分かる記録を残します。
4. 常勤職員と事業所の計画を立てる
常勤職員は日本人・永住者などに限られます。採用の見込みと、事業所の賃貸借契約(事業用)の見通しを事業計画書に反映させます。
5. 卒業前に専門家の確認を受ける
事業計画書は中小企業診断士・公認会計士・税理士の確認が必要です。会社設立の登記(司法書士)、税務(税理士)、在留資格(行政書士)を早めに連携させておくと、卒業後6か月の期間を有効に使えます。

在留資格変更許可申請の標準処理期間は1か月〜2か月です(出典:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」、確認日:2026年11月5日)。「留学」の在留期限が卒業後に残っていても、卒業後は留学の活動が終わっているため、早めに次の在留資格への変更を申請する必要があります。就職活動のための特定活動は「大学卒業後の就職活動」をご覧ください。

よくある質問

Q.日本の大学を卒業しただけ(学士)で、経営・管理ビザは取れますか?

A.改正後の経歴要件は、経営管理の分野または事業に必要な分野の博士・修士・専門職学位を持つこと、または事業の経営・管理について3年以上の経験があることのいずれかです。学士は学位の要件に挙げられていないため、学部卒で経験がない場合は要件を満たしません。大学院で修士を取得するか、特定活動(起業活動・スタートアップビザ)の期間を経験として積む方法があります。(出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」主な改正内容4、確認日:2026年11月5日)

Q.日本語能力試験N2を持っていません。日本語の要件はどう証明しますか?

A.日本の大学等高等教育機関を卒業していれば、卒業証明書で日本語能力B2相当の要件を証明できます。専門学校や高等専門学校の卒業も含まれますが、恒常的に外国語で授業を行う課程や通信教育の課程は除かれます。本人が満たせない場合は、B2相当の能力を持つ常勤職員を雇用することでも要件を満たせます。(出典:同上 Q&A 問13・問15、確認日:2026年11月5日)

Q.卒業後6か月の特定活動の間に、3,000万円を用意すればよいのですか?

A.いいえ。卒業後の起業活動のための特定活動は、申請の時点で3,000万円以上の資金を調達していることと常勤職員の雇用が確実であることが要件です。この6か月は、会社の設立や事業所の契約など、経営・管理への変更に必要な手続きを終えるための期間です。資金のめどが立っていない場合は、在学中から大学の起業支援やスタートアップビザの利用を検討してください。(出典:出入国在留管理庁「本邦の大学等を卒業して起業活動を行うことを希望する方」、確認日:2026年11月5日)

Q.在学中の友人(留学生)を従業員にすれば、常勤職員の要件を満たせますか?

A.満たせません。常勤職員として数えられるのは、日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のいずれかに該当する方です。「留学」や就労系の在留資格で在留する外国人は除かれます。(出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」主な改正内容1、確認日:2026年11月5日)

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■この記事の監修者■
行政書士法人Climb 代表行政書士 森山敬

行政書士法人Climb 代表行政書士 森山 敬
東京都行政書士会新宿支部(登録番号 第11080978号)/出入国在留管理庁 申請取次行政書士
2011年開業。ビザ(在留資格)申請・帰化申請を専門に、年間約1,000件の相談に対応。日本語・英語・中国語・ベトナム語・ネパール語で対応しています。

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